こんにちは- Azure テクニカルサポートチームの大野です。
今回は良くお問合せいただく内容として、特定の AKS ノードの再起動または削除についてご案内したいと思います。
そもそもサポート外の操作ですか?
Azure Kubernetes Service (AKS) についてよく寄せられる質問でも下記の通り、サポートされない操作と記載があります。
すべての VM を停止したり、その割り当てを解除したりできますか? より引用
これは、直接 AKS のリソースの操作を行うことにより、AKS として管理している情報と不整合 (例えば、仮想マシ
ンを直接削除したが、AKS のノードとしてまだ残っている状態、等) が起きる恐れがあるため、このような記載が
されています。
これは、Azure のリソースを直接操作した場合に、AKS (Kubernetes) から見たときに情報の整合性が取れなくなるためになります。
ただ、特定のノードがおかしい等により再起動や削除されたいといったご要望があるかと思いますので、以下、実行例を交えて手順について纏めてみました。
なお、ノードの不調については、Azure 基盤の自動修復をはじめ、AKS の自動修復により改善されることがあります。
この話はまた別の機会にでも。
特定のノードを再起動
まずは、特定のノードを再起動する場合の操作手順になります。
流れとしては、以下になります。
- 該当ノードからワークロードを退避し、新たに Pod がスケジュールされないように対象から除外
- 再起動を実施
- 該当ノードを再度 AKS クラスターのスケジュールに組み込むよう設定
- 該当ノードからワークロードを退避し、新たに Pod がスケジュールされないように対象から除外
1 | kubectl get nodes |
- 再起動を実施
1 | VMSS の場合 |
- 該当ノードを再度 AKS クラスターのスケジュールに組み込むよう設定
1 | kubectl uncordon aks-nodepool1-40771167-vmss000000 |
注意点としては、ノードを組み込んだ後に、Pod の配置の平滑化は行なわれることはありませんので、
必要に応じて、Descheduler 等による平滑化をご検討ください。
特定のノードを削除
特定のノードの削除時も kubectl drain
により退避させてから行う点は同じになります。
加えて、kubectl delete node
により、Kubernetes におけるノードリソースの削除を行います。
- 該当ノードからワークロードを退避し、新たに Pod がスケジュールされないように対象から除外
- 該当ノードを AKS の管理情報から削除
- 対象ノードやリソースを削除
- 必要に応じてスケールアウトを実施
- 該当ノードで稼働するワークロードを別のノードに退避
1 | 対象ノードを確認 |
- 該当ノードを AKS の管理情報から削除
1 | kubectl delete node aks-nodepool1-40771167-vmss000000 |
次にノードにあたる仮想マシン/仮想マシンスケールセット インスタンスや関連するリソースを Azure ポータルまたは CLI 操作により削除します。
- 対象ノードやリソースを削除
1 | 可用性セットの場合 (AvailabilitySet) |
注意
上記のように Azure のリソースを削除しない場合に、スケーリング操作を行なうと、まだノードがあると認識され、
正しくスケーリング操作が行なわれません。
例えば、3台ノードがあった場合に、1台ノードを kubectl delete
により削除後、Azure のリソースを削除を行わないで、
スケールイン (2 台) を行なった場合、先のノードが存在すると認識され、別の仮想マシンまたは仮想マシンスケールセット インスタンスが削除されてしまいます。
そのため、本操作を実施される場合には、必ず Azure のリソースも併せて削除してください。
- 必要に応じてスケールアウトを実施
最後に必要に応じまして、台数の調整を実施してください。
1 | az aks scale -g labasaks -n labasaks --node-count 3 |
PodDisruptionBudget による可用性の向上
kubectl drain
は内部で、Eviction (退避) API が呼ばれますが、この Eviction API は Pod を削除する動作となります。
(ReplicaSet を組んでいない Pod は単純に削除されることになります。)
The Eviction API より引用
The eviction subresource of a Pod can be thought of as a kind of policy-controlled DELETE operation on the Pod itself
そのため、連続してノードを Drain を実施されたとき、Pod がまだ正常に起動しておらず、サービス断が発生する恐れがあります。
PodDisruptionBudget 設定されておりますと、Eviction API が呼ばれたときに、設定された Pod 数の稼働状況を見て、Pod を削除するか判断されますので、ワークロードの可用性に考慮して設定いただければと思います。
ご参考情報;
以上で、特定のノードを再起動/削除する手順を紹介させていただきました。 本稿がお役に立てれば幸いです。
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